さめざめにみじめに

「お、アダム。どうした? なんか悩んでんの」
なまえのことだから、どうせぽやぽやして私のことを受け入れてくれるよな」
「いきなりなんだ」
「そうだ。そうに決まってる」
「(デカい独り言かよ……)」
「……」
「ちょ、おい? どこ行く気だ」
「……散歩に誘うんだよ」
「まあまあ、少し落ち着けって。そんな顔で行ったらまた泣かせるかもだろ」
「……」
「……なあアダム、お前なまえのことをなんだと思ってる?」
「どうしようもないくらいお人好しで脳内がお花畑ちゃん」
「……」
「拒絶しないんだよ、なまえは。だから周りの奴らを勘違いさせる。クソ悪魔どもにもにこにこにこにこしやがって……チッ」
「……」
「……ンだよ、黙って」
「そういうところだって」
「あ? なにがだよ?」
「多少距離が縮まったからって勘違いはするなよ、お前がなまえにしてきたことは撤回できない。生きてるうちに償える罪は償っておきな。でないと後悔することになるのはアダムだからな?」
「……」
「アダムがなまえに盲目的なまでに執着してんのは誰が見たって明らかだ。だからなまえが怖がる。そりゃそんな顔して迫られりゃ逃げたくもなるだろ。そう考えると、やっぱ和解することに意味はあるよ」
「……」
「シラフのときの様子でも把握しておけばいいさ」
「エンジェル、その辺にしておけ」
「あ、ごめん」
「私、は……間違えてきたんだろ、それくらい理解してる」
「地獄でそれに気がつくのってマジで笑えるよ」
「エンジェル」
「ごめん」
「駄目だ、……駄目なんだよ、なまえだけは……」
「ん?」
「わかるだろ? は、ハハ、私だけじゃない。お前らだってそうだ」
「……」
「……なまえ、は、駄目だ……」
「……」
「妻を二回も寝取られた私の気持ちがわかるか」
「そういうことをされて当然の言動が目立ったんだろ」
「同じ男にだぞ!? ふざけるなよ!!」
「(うるさ)急にキレるじゃん。ウケる」
「エンジェル」
「ごめんて」
「……
「また盗られるのが怖い?」
「……ッなまえは、……!」
「……はあ。ハスク、酒」
「……ああ」
「(めんどいから酔わせて寝させよ)」
「アダム、ほら」
「まあ、飲みなよ。酒でパーッとしようぜ」
「……」