なるほどですよ

「今日も配達お疲れ様です、なまえさん。毎度助けられておりますよ」
「秘書さんもです!」
「しかし、つくづくよくこのバイトの許可がおりたな……と思うのですが」
「?」
「聞いた話によると、なまえさんは引く手数多だそうですね。ボスが心配されているのです。ここ最近はその独り言が多くて」
「? ヴォックスさん、わたしを心配してくださっているのですか?」
「そのように把握しております」
「わあ、やっぱりやさしいんですね」
「(なまえさんにだけとは言わないでおこう)」
「わたし、ヴォックスさんともっと仲良くなりたいです」
「あ、なるほどこういうところが」
「?」
「いえ。お気になさらず」
「でも、あの……アラスターがたぶん許してくれません。アラスター、ヴォックスさんにとっても厳しくて……」
「……」
「ご、ごめんなさい。こんなこと言っちゃって……」
「(なまえさんの話からボスに流せる情報は流しておいた方が良さそうだな)」
「あ、でもあんまりここにいたらお仕事が……。わたし、まだ配達しなきゃいけないお手紙があるんです」
「おや、そうなのですか?」
「はい……。あ、あの、またおはなししてくれますか?」
「私でよろしければいくらでも」
「……! えへへ、うれしいです」
「……」
「秘書さん、また会いにきますね」
「楽しみにしてますね」
「はい! それでは~!」
「……罪深いなあ」