わたしのお尻をなでてくる三角頭を力一杯押してなんとか離すことはできた。しかしわたしはある重大なことに気づいたのである。
「(……はいて、ない……!)」
恐る恐る手をスカートの下に忍ばせてみると、確かに本来あるはずの下着の感触が感じられない。当然わたしに局部をさらす趣味はない。考えられる元凶はただひとつだけ。あの人だ……! 自分を誘拐した挙句下着を奪い去り、姿を消してしまった男。探し出して一発かましてやらなければ気が収まりそうにない。ほんとに、もう、信じられない……。一度はいていないと気づいてしまえば、どうしてもそちらに意識がもっていかれる。身につけているのは制服だし、スカートも短い。ここにいるのは人間であるかも定かではない三角頭一人であるけれど、……。少しでも風が入ってくるとスースーして恥ずかしい。言葉にできない羞恥心でわたしは顔に血がのぼるのを感じた。もじもじと両足を合わせると、三角頭はその異形な頭を斜めに傾ける。
「ね、あの……ここに、ランジェリーショップとかって、あるわけないよね?」
頼みの綱はこれだけだった。しかし当の質問をしたわたしでも、愚問だと思う。だって、明らかに人が住んでいるところではなさそうだもの……。諦め気味に問いかけ三角頭を見上げると、やはり彼は頭を傾げるだけ。
かくして、わたしの不本意なノーパン生活が幕を開けてしまったのである。