いためつけたいのです

※性格

きっと大丈夫です、と、そのように云って下さった彼女は頬を薄桃色に染め、大層可憐な様子ではありましたが、心髄から打ち震えるような喜ばしさを感ずることができないのは、何を隠そう彼女の愛らしい口から、実の弟の名が紡がれてしまったからなのでした。本来ならば自分の名を呼ばれただけで、舞い上がるほどの幸福感を得られるというのに。それだけではなく、更に面白くないのが、この娘は私に弟のような性格を目標としてほしいとせがんできたのです。ああ、なんということだ。はらわたがグツグツと煮えくり返っている。彼女の言い分は、私のこの極めて受動的な性格を改善し、やや積極性を身につけることで、村民からより一層に信頼を向けられる。とどのつまり、男らしくなれとの事でしたが、実の所私はそこまで消極的な性格をしている訳ではなく、ただそう、、であらなければならないがために、心優しい求導師を演じているのです。さて、どうしよう。この娘をどうしよう。面白くない。彼女の濁り一つない瞳には、私は只の優しい求導師としてしか映っていないようだ。面白くない。理性で抑えつけている私は物柔らかでもなければ、温和でもないのです。優しい求導師なんて、どこを探してもいやしないのです。それこそ今この瞬間も、彼女を一体どのようにしてやろうかと、そんな醜い感情でザワザワと胸中を騒めかせている悪い大人なのです。さて、どうしよう。さあ、どうしようか。私は彼女の、直ぐにでも手折れそうな細い手首を掴みました。