「まるで自分ではないみたいなんです……なまえちゃんも宮田さんも、信じられないかと思いますが、今の私はまるで超人……屍人の動きを先読みできるんですよ……。ああ、その目……やはり信じていませんね。えぇ、そうでしょう、そうでしょう……私だって信じられません。ですが、本当なんです。こんな異常現象は初めての筈なのに、前にも見たことがある気がして。……それで、きっとあの人はこんな風に動くだろう、こんな風に攻撃をしてくるだろうって、予測できるんです。頭の中に浮かんでくるといいますか……むぅ」
「……つまりこれから自分の身に何が起こるのか、予知できるということですか」
「そうなります……。し、正直、こんなこと本人の目の前で訊ねるのはアレかとは思いますが、確認させていただきますね? 宮田さん、貴方は私を殺」
「さよなら、兄さん」
「っいやぁぁあああ!」
「(避けられるとは……まさか本当に動きを?)手が滑りました」
「牧野さん、なんだかいつもより機敏だぁ~」
「なまえちゃあん! い、今の見ましたか! 確実に殺そうとする目でした!」
「…で、でも、手が滑ったって言ってますよ?」
「フン」
「(なまえちゃんを味方にして誇らしげだ)」
「……しかし、そうだな。このままだと非常に厄介な事になりますね」
「厄介……? 宮田先生、どういうことですか?」
「邪魔な存在を消しにくくなるという事です」
「酷い!」
「俺は別に牧野さんだと限定していませんが?」
「これでも私は宮田さんの兄! そんなことが嘘だと分かってます!」
「なっ……知った風な口を利くな!」
「それは私にも言えることですよ! 宮田さんだって私のことをヘタレだのカスだのクソだの散々言ってくれましたが私はそれのどれにも該当しない! 宮田さんだって!」
「煩い黙れ!」
「宮田さんも声が大きくて煩いです!」
「死ね!」
「死にません!」
「なら殺す!!」
「っいやぁぁあああ!」
「(また避けられたクソックソックソッ!)」
「あ……あの~……ずっとここにいても、なんの解決にもなりませんよ?」
「……」
「……」
「先に進みましょう! 実はわたし、男の子を見かけたんです。この村の子ではなくて、初めて見る感じの……。その人が、なんだか力になってくれる気がして」
「……男? 誰だ」
「……なまえちゃん。それはどんな感じの人?」
「緑色の服を着ていました」
「……」
「……」
「たぶん……ううん、絶対。彼がこの恐ろしい村を、何とかしてくれるはず。そう思ったんです」
そう、思ったんです。