惑惑

※高校生

「これよりなまえちゃんの破局パーティーを開催致しまァす」
「おい……本人の前でそんな軽率に」
「ジャンクフードにコーラもあるよ」
「ノーダメージ!? というかなんでまた僕も」
「開催場所が松野家だからね、仕方ないね」
「そう気にしなさんな」
「……」
「さて此度の要因に覚えは」
「ちょっと難しい」
「いや分かれよ! 何回目だよ!」
「では代わりに申し上げますとオ……アレは彼氏という分際でありながらタダの友人である人間より無下な扱いを受けていたわけです」
「うん……?」
「え、なんで疑問系?」
「で、とうとう堪忍袋の緒がズタボロにブチ切れて別れを告げるザマとなってしまったのでしたァ。完」
「なるほど……?」
「え、だからなんで疑問系? 本当に身に覚えないの? なまえちゃんの一松に対する態度はさあ、彼氏って立場から見ると納得できるはずがないんだよ」
「ご、ごめん……」
「あ、いや、別に責めてるわけじゃないんだけどね」
「だって彼氏よりみんなの方が大事だから」
「エッ」
「うわ赤」
「そんなときはコーラだよ。どうぞ」
「(どんな時?)……ありがとう」
「僕みたいな人間に劣るとかゴミ以下過ぎてウケる」
「なんで相手の悪口になってんの? 元々なまえちゃんを元気づける……ってそもそも落ち込んでないのか。じゃあこれって結局何のためのパーティーなんだよ……」
「こちらはなまえちゃんを慰め励ますという体裁で開催されながらも実際は彼氏カッコワライとかいう存在であるにも関わらず万事においてゴミの足元にすら及ばない態度で振る舞われて結果心が折れ、最後の最後まで折角手にした特権を発動させることができないままに散っていったアイツを指差しせせら笑うパーティーとなっておりやす」
「めんどくさ……もうお前らが付き合えよ……そしたら何の問題もないだろ……」
「無理だよ」
「なんで」
「僕がなまえちゃんと交際するなんてことは生涯起こり得ないし、僕はもとよりなまえちゃんが誰と付き合おうが知ったこっちゃない」
「こんなパーティー開いといてよく言うな」
「一松くんは大切な幼なじみだもんね」
「そう」
「はあ? それマジで言ってる?」
「もちろんチョロ松くんも」
「そういうことじゃなくて」
「あ、一松くんのコップ空になってる」
「入れて」
「合点承知」
「口にポテチついてる」
「とってとって」
「ん」
「ふふ」
「ひひ」
「……」

 僕はこいつらその内フッツ~にキスもそれ以上のこともするんじゃねえのと思った。