Q

「はあ。ご結婚」
「ええ」
「……お相手は」
「聞かなければわからないのですか? 宮田さんともあろう方が?」
「とうとう気を違えたようで」
「うふふ。信じたくないだけでしょう?」
「なんとでも言えばいい」
「そうおっしゃる割に、面白くなさそうな顔をしていますよ」
「早急に消えろ」
「然るべきお言葉をいただいていませんから」
「……」
「強情ですね」
「……」
「聞くまで帰りませんよ」
「……ご結婚おめでとうございますどうぞ末永くお幸せに」
「その中指は一体……?」
「俺が貴方の幸福を願うような人間だとでも?」
「……。まあ、今までのはすべて嘘なんですが」
「くたばれ」
「夢だったんです。目覚めたときの絶望と言ったら」
「この世の全てに絶望してくたばれ」
「正夢の可能性を信じていますが」
「逆夢しかあり得ないくたばれ」

Q

「いい年した大人がなんて言い争いをしてるんだろう」
「あっ石田さん! こんにちは。巡回中ですか?」
なまえさん……」
「んん、あそこにいるのは」
「あんな見るに堪えない光景を直視しちゃダメだあ!」
「わあっなにも見えない!」
「(二人に気づかれない内に、別のところへ……)」
「事案ですね」
「巡査ですのにね」
「ヒッ」
「その声……宮田先生と牧野さんですか?」
「……」
なまえさん。こんにちは」
「こんにちは、牧野さん、宮田先生。……ところで、あのう……石田さん? 手を、」
「いやだっ!!」
「「「!?」」」
「ここは危険すぎる……オレがなんとかしないといけないんだ……ッ」
「石田、さん?」
「むしろオレがなまえさんと結婚したい」
「!?」
「は?」
「え?」
「あ。勢いでつい本音が」
「ほ、本当ですか? その、いまの言葉……」
「エッ。……そ、そりゃ、まあ……嘘ではないよ。だけど」
「わ、わたし、嬉しい……」
「そんな、けど、オレでいいの?」
「石田さんがいいんです」
「……ッなまえさん!!」
「……」
「……」
「ヒッ」

石田に向けられるのは、禍々しく立てられた二人分の中指───……!