秋の鹿は笛に寄る

「あれは最早人間じゃない。分かるでしょう。殺しても殺しても生き返ってしまうんですよ。その様子はなまえさんも見てきたはずです。俺と来て下さい。その方がなまえさんも安全だ。……ああ、なぜ離れるんですか。何も恐ろしいことなんてありませんよ。俺が全部殺してあげます。たとえ生き返ってしまっても、何度でも、何度でも殺してあげますから。なまえさんのために。なまえさんのためだけに。お願いですから、離れないでください。……どうして、なぜ、離れるんですか。俺はもうなまえさんを殺したくない。言うことを訊いてくださいよ」