「よう。このページに目を通したってことは、虚ろを読んだってことだよな。オレが望もうが望まなかろうが、この話はこれでお終いだ。なあプレイヤー、アンタはこの話を楽しめたかい?……オレ? オレはそうだな、実を言うと楽しめなかったよ。なぜかって? ハハ、プレイヤーにも分かってるはずだろ。わざわざ訊くって意地が悪いな。なまえがオレたちの世界に堕ちたって設定は中々面白い設定だったと思うんだが。それを読んでいたプレイヤーはどうだった? ああ、ここで言うプレイヤーってのは───今画面を覗いているなまえ、アンタのことだよ。なまえが世界を無にしてしまったのを傍観するのはさぞ愉快なことだったろうよ。……少し、独り言ちてみよう。オレの独話だと聞き流してくれても構わない。ただ、語らせてくれ。最後に足掻きたがるのはオレだけじゃないだろ? 殺されかけてる虫螻だと思われても構わない。それくらい現実を見てほしいってことさ。……この世にはパラレルワールドというものが存在する。OFFというゲームは、なまえが起こす行動によって結末が変わる。そうだったろ? バッターを選ぶかジャッジを選ぶか、スイッチを切る云々も、総べてその通過点にある。結末を選択できるということは、つまりそれはなまえにとっては同じ世界線だということになる。まあ、なまえにとっちゃ当然と言えば当然の話だよな。けど、オレたちは違う。スイッチが切られた世界ではそのままオフにされた世界のまま。ジャッジを選んでスイッチを切らなかった世界ではジャッジとオレがふたり寂しくまっさらになった世界のまま。そういうことなんだよ。なまえの選択によって、破壊的に、壊滅的に、破滅的に、その世界はなまえが導き出した答えのまま経過するんだ。分かるか? 虚無の世界でふたりきりの、その状況下を。分からないよな。分かるわけないよなあ。だってなまえはこうしてのうのうとオレの話を聴いているじゃないか。導き出した答えを忘れて、なまえのいるそっちの世界で何かを楽しんで、笑って、泣いて。いいご身分だよな。率直に言おう。オレはなまえが憎い。こうしてオレたちの世界を変容させてしまうほどの力を持つなまえが。……考えちゃうんだよなあ。なまえがOFFというゲームに出会わなければ、オレたちは今も幸せに暮らしてたんじゃないかってな。なまえがこのゲームに出会ったその時点で、オレたちの平穏はなすすべもなくぶち壊される運命にあったのだろう。だから言わせてくれ。なまえのせいでオレたちの世界は終わってしまった! どうかそのことを引きずって生きていってくれよ、アミーゴ。……じゃ、そろそろオレは行くんでね。精々後悔でもして生きていけばいいさ。どうかこの話がなまえの心に刻み付けられますよう。……。……………………………………………………。」
ゆめゆめお忘れなきように
