あやつを許すべからず

「弱者は呼吸をするな」
「あ、あい……」
「と、言いたいところだが」
「……」
「お前を見ているとどこか懐かしく感じる」
「わたしはそう思いませんけどね……」
「なぜだ」
「わかりませんよう……」
「……まあいい。なまえ、お前だけは俺の前で呼吸することを許そう」
「あ、ありがとうございます……?」
「礼はいい」
「……ちなみに、猗窩座さまの前で呼吸をしてはいけない鬼はいらっしゃるのですか?」
「ああ」
「……誰なのかお訊」
「童磨だ」
「す、すごい食い気味ですね。相当」
「嫌いだな」
「わあ~……」
「あいつはいつか殺す」
「せっかくの鬼同士なので、仲良」
「却下」
「はやあい……」

死して許されるものもあるのだ。