素晴らしきは覆される世界!

カウンターに金が置かれる。「まいど!」ザッカリーは札束を一枚一枚数えると、にっこりと目の前のキャップを被った男へ微笑みかけた。

「笑うな気色悪い」
「突然の罵倒をありがとよ……………………」
「俺は行く」
「あ、そう……」
「扉が開かない。お前のせいだな」
「あてつけやめて!?」
「俺となまえを引き離そうと企む奴はお前以外に誰がいる」
なまえの気持ちは知ってんの?」
「気持ち?」
「そ。なまえの気持ち。なまえがあんたを拒絶してたらそれは余りにも可哀想だろ」
なまえは俺を必要としているし、俺もまたなまえを必要としている。それになにか問題でもあるのか」
「えー……それ絶対知らないやつ……」
「さっさと解錠しろ」
「オレにはできない。あんたがこの世界の真理に関わっているせいで齎されている崩壊に対してオレにできることはなにもないからな」
「殺す」
「またこの展開!?」
「また? 何を言ってる」
「あ、いや、これの前の前の話も同じ終わり方をしただろ?」
「……?」
「え、ああ、そっか、分からないよな。分かるわけないもんな」
「気持ちの悪いことを言うな」
「……。あ、壊れた」
「……」
「……あーあ、行っちゃった」

 なまえ、大丈夫かな。